わたしの隣の魔法使い
第7章 カイトの秘密
【その11】
『無駄だ。この世界ではオレが中心なのだから』
前のワイトの時のように私は取り乱してはいない。前にいる敵が幽霊だとしても私はとても冷静だった。だからカリバーンから閃光を放つことも出来る。しかし騎士に当たったと思った攻撃は体をすり抜けて遠くの壁に当たる。
「何で!?何で効かないの?!」
『だから言っただろう。ここはオレのテリトリーだ。そんな攻撃まったく効かない』
首がない騎士から発せられる声。それは声というより音のように辺りに響く。
まったく効かない私の攻撃。でも私は諦めなかった。私はカリバーンを信じて何度も敵に攻撃を浴びせる。しかしその度に騎士とは別の場所で爆発が起こった。
「どうしたらいいの……」
容赦なく繰り返される騎士の大きな剣での攻撃。私はそれをカリバーンで受け止めて必死に押し返す。今まで剣なんて使ったことがなかったけれど、私がカリバーンに強く願うと不思議なことに私は騎士の攻撃を受け止めることが出来た。
『さすが聖剣カリバーンを持つ少女。モルガン様が言うだけはある』
「え……?」
騎士から聞こえるモルガンの名前。それにカリバーン。何でジハナムの妖精がこの剣を知っているの?
『でも受け止めるだけではオレには勝てないぞ』
騎士が大きな馬の上から剣を振り上げる。すると剣全体が大きく光りだした。私はそれを一瞬で危ないと感じる。なぜならそれが私がカリバーンから閃光を放つ時と一緒だったから。
『オレの攻撃はお前にはかわせないぞ』
そして騎士が剣を振り下ろす。すると私の攻撃と同じように強い光の閃光が私に向かって走り出した。私は逃げることが出来ず、その場に立ち尽くしてしまった。
『シルフィード!彼女を守れ!』
閃光が私に当たると思った瞬間、私の前に大きな壁が出来る。閃光は私には当たらずその壁に当たって大きな爆発を起こした。それは私の攻撃より遥かに大きな爆発。
「ユーリ!大丈夫か?!」
私はすぐには助けてくれたその声の人物の方向に顔を向けることが出来なかった。
『ほー。オレの境界の中に入ってくるとはさすが魔法使いだな』
「デュラハン、何故お前なんかがここにいる」
『モルガン様の命令でね。まあ、計算どおりというわけだ』
「何?」
私はカイトをそこではじめて見る。
「あ……」
カイトの髪の毛はまた真っ白になり、目が獣のように赤く光っている。また強い魔法を使ったようだった。少しカイトの息が荒い気がする。
『この中に入るのに苦労しただろう?魔法使いさん』
「一体何が言いたい?」
『気にするな。これもモルガン様のお考えだ』
「何だと?」
私はカイトとデュラハンのやり取りがまったくわからなかった。この騎士は一体何を言っているのだろう。
『お前とも一戦交えたいが、もう力が残っていないな。まったくこの世界は厄介だ』
デュラハンの馬が大きく嘶き、前足を上げる。
『娘、もっと力を付けてオレに挑んで来い。その時を楽しみにしているぞ』
「な、何を言っているの?!」
しかしデュラハンは私の叫んでいる途中で姿を消していった。私は何がなんだかわからず動けずにいた。隣のカイトも動かない。
「くそ、俺は罠にかかったのか……」
「え?」
まだ周りはまったく動いていない。デュラハンが去った今でも時を失っていた。
「ユーリ、時を戻すから掴まって」
白い髪の毛のカイトはいつもと違い表情が少しも変わらない。私は何も言えずにカイトに掴まった。
『壊れし世界に平穏を 失われし時に流れを』
カイトがそう魔法を唱えると、私が壊してしまった風景が元に戻っていく。そしてすべてが元のように動き出した。
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